十六夜小唄
わずかばかりの酒と夜風に
酔って月夜の中をさまよう
いいことないかと御都合主義の
運命ねだる街を横切る
急ぐことを少し止めれば
いろんな物が見えだすように
他人の落とした想いのかけら
まばらな闇に拾い集める
疲れたならばそこらあたりに
座り込んで眠るとしよう
道の端に転がったとて
よけるぐらいはみんなするだろ
世の中さほど悪くもないと
どこぞで泣いた赤子に答え
この身ひとつで生きてることを
空に向かって笑って見せる
出来合いで売る幸福などを
着込むばかりが能じゃない筈
風に合わせて手拍子打てば
星も草木も踊り始める
夢は遠くまだ遠くても
諦め切るに遅れはないさ
足の下にじゃれつく猫が
くわえて戻る時もあるだろ
夢は遠くまだ遠くても
諦め切るに遅れはないさ
ここで少し眠るとしよう
見上げる空に十六夜の月
* 幸福:しあわせ
|